本屋さんの仕事ってどんな内容? 書店の1日を追ってみた。

本屋の仕事

 

数十年前まで、町には小さな本屋さんが、たくさんありました。

いつごろからでしょうか。

ショッピングモール内や郊外に、大型書店ができ、町の本屋さんは、次々に姿を消していきました。

今では、インターネットで本を買うことができ、本をデジタル版として、パソコンやスマートフォンなどで読むことができます。

一方で、読書を推進する動きもあり、本という形態を見直す傾向も見られます。

ここでは、わたしが勤める、いわゆる「町の小さな本屋さん」の仕事について、見ていきます。

本屋さんの仕事も、他の多くの仕事がそうであるように、目に見える部分と、そうでない裏方の部分があります。

その両方について、1日の流れを追ってみましょう。

町の、とある小さな本屋さんの1日が始まります。

開店前

掃除

まずは、掃除をします。

外を掃き、店内に掃除機をかけ、トイレをきれいにします。

トイレがきれいですと、お客さまの次のご来店にもつながる気がするので、気持ちよいトイレを心がけています。

洗面所の鏡は、手を洗った時に必ず水滴が飛ぶので、朝の掃除時はもちろん、それ以外でも、こまめに拭きます。

入り口のガラス戸は、手の油分などが光に透かすとよく目立ちます。

ここも鏡と同様、朝だけでなく、お客様がいらっしゃらないときにも拭くようにします。

本の整理整頓

店内の本は、常に乱れます。

平積みの本が、少しずれているだけで、雑然とした印象を与えます。

なので、積まれた本は、きちんと揃えなおします。

カバーのずれを直します。

本のカバーは、お客様が手に取られるたびに、ずれていきます。

ずれたままですと、カバーが痛む原因になります。

特に、棚差しの本は、本を取り出す際に、背の上部に指をかけて取り出す方が多いので、背の上部のカバーが痛みます。

カバーが破れたり折れたりした本は、お客様に提供できなくなってしまいます。

そうならないように、カバーのずれを直しておきます。

スリップ(本に挟まっている、細長い二つ折りの紙)が飛び出している場合があるので、元通り挟み込みます。

スリップは、本の補充や、売り上げ管理などに必要な、大切なものです。

抜け落ちてしまわないよう、きちんと挟みます。

はたきがけ

本の上には埃が貯まりやすく、目立つので、はたきやハンディモップなどで、埃を取り除きます。

特に、動きの少ない本の上などは、意識してきれい。

棚に差してある本は高さがまちまちなので、はたきでなでるようにほこりを取るのが一番良いように思います。

レジの準備

お釣りの用意などレジの準備をします。

開店

看板を出し、点灯など、開店準備をします。

 

 

午前中の仕事

接客

何よりも接客を優先します。

何かを探されていたり、迷っていらしゃる場合は声を掛け、ご相談に応じます。

会計、袋詰め、プレゼント包装などを行います。

メール、FAX、郵便物のチェック

お客様からの注文が、メールで来ていたり、出版社からの連絡が、FAXや郵便で届く場合があります。

チェック漏れのないようにし、返信や連絡、注文の手配などを行います。

荷開け、検品、陳列

取り次ぎ店(出版社と書店の間に入る業者)より、本日入荷の商品が届きます。

段ボールを開け、納品書と商品を突き合わせ、納品に間違いがないかをチェックします。

チェックが終わった商品の中から、客注の本を抜き出し、それ以外の本を店頭に並べます。

抜き出した客注商品は、所定の場所へ置き、それぞれのお客様に入荷の旨を伝える連絡をします。

客注で未入荷のものがないかどうかもここでチェックします。

入荷が遅いものについては、取り次ぎ店に問い合わせるなど、素早い対応を心がけます。

雑誌類は、付録と本誌がばらばらの状態で入荷するので、ビニルひもや輪ゴムで本誌と付録をセットにします。

そして、前号を抜き取り、最新号を陳列します。

季節コーナー、おすすめコーナーなどの展開

折に触れ、季節コーナーの商品の入れ替えや、イベントに応じたコーナーを展開します。

午後の仕事

接客

業務を行いつつ、お客様がいらっしゃる場合は、接客を優先して行います。

配達

配達の商品を用意し、書類(納品書、請求書など)の作成、商品の最終チェックをします。

車に積み込んで配達へ。

返品

雑誌や本は、返品期限内に出版社へ返品することができます。

最新号と差し替えた雑誌や、売れ残った本、売れゆきのよくない本をまとめ、段ボール箱に詰めます。

専用の伝票に必要事項を記入して、添付し、発送します。

個人的には好きな本でも、残念ながらなかなか売れない場合もあります。

棚にスペースがなく、やむなく返品となるときは、密かに悲しい気持ちになります。

あまりにも状態が良くない本は、返品を受け付けてもらえない場合があります。

お客様に注意するのも勇気がいりますが、目に余る本の扱いをされる時は、声を掛けざるを得ない場合もあります。

ポップの作成

新刊の本や、おすすめの本、企画コーナーなどに貼って商品を紹介、おすすめするポップ(POP…Point of Purchase)を作成します。

ネタバレしない程度に、お客様が知りたいこと、自分がおすすめしたい部分を短くわかりやすく書くように心がけています。

商品発注

売れた本の補充、新刊本、客注商品などの発注をします。

FAXや取り次ぎ店のウェブサイトを利用して、発注をします。

お客様からの注文など、入荷日が重要な場合もあるので、発注漏れがないように注意します。

その他

ホームページの更新、売り上げカード(本に挟んであるスリップの売り上げカード部分)の集計、データ入力、お店のお便りやイベントのフライヤーの作成などを行います。

定期的に、おはなし会を開催します。

精算

今日の売り上げなど、1日の精算業務を行います。

閉店

片付け、消灯、戸締まりを行います。

 

大変なこと

お客様のご希望に沿った本をお選びするために、できるだけ多くの本を知っておきたい、ということです。

時間に限りがありますし、私は読書スピードも遅く、なかなか思うようになりません。

とはいえ、ご紹介できる本が1冊でも増えることは喜びでもあります。

本は、重いものです。

段ボール箱いっぱいに詰めれば、余裕で10キロを超えます。

それらを持ち上げて運ぶ必要があります。体を痛めないよう、日々気をつけています。

全ての本が、いつまでも存在するわけではなく、残念ながら、消えていく本がほとんどです。

お客様のご注文をお受けしたにも関わらず、出版社でも品切れ、重版未定(初版と同じ版で刷り直す=重版 その予定が決まっていない)となった場合は、どうすることもできません。

お客様に、取り寄せ不可の旨を伝えなくてはなりません。心苦しい限りです。

平積の本の上に荷物を置かれたり、本の写真を撮られたりという、マナーに反する行いをされるお客様もいらっしゃいます。

勇気がいることですが、そのような行為を見かけたら、声を掛ける必要があります。

冒頭でも書きましたが、最近は、本もインターネットで購入したり、デジタル版で読んだりする方も多くなりました。

売り上げという意味でも、書店は大変な時です。

 

やりがいを感じる時

なにより、お客様に喜んでいただけることです。

タイトルも作者もわからないけれど、ほんの少しのあらすじは覚えている、という情報量で、ご希望の本を見つけて差し上げることができた時は、お客様と同様に、私も喜びを感じます。

「先日選んでもらった本がとてもよかった」と言っていただいたり、「プレゼントを喜んでもらえた」と伺うと、とても幸せな気持ちになります。

「本はここって決めているのよ」と、店頭にない本でも、ご注文いただくことがあります。

そんな時、本当に、感謝の気持ちでいっぱいになります。

最後に

いつでもお客様が通りかかる、ショッピングモールなどの大型書店にはない、小さな書店の雰囲気。

インターネットにはない、書店ならではの、温かく細やかなコミュニケーション。

デジタルではなく、本という形態のすばらしさ。

これらを、少しでも多くの方に思い出していただけるよう、日々考えていきたいと思います。







本屋の仕事