イカスミはあるのに、タコスミが無いのはなぜ?

イカスミはあるのにタコスミは無いの?

 

イカスミといえば1990年代から日本でもブームになりましたよね。

イタリアンやスペイン料理などで口にする機会も増えたことと思います。

そんなイカスミの基礎知識から、ちょっと難しい化学の話、そしてちょっとした疑問にお答えします。

イカスミって、そもそも何?

イカスミとは、イカが危険な目にあった時に吐き出す、粘り気の高い黒褐色の液体のことです。

主に捕食者(鳥、大きな魚など)から逃げる目的で使われます。

吐き出された墨は一度紡錘形にまとまってから、大きく広がります。

これは自分のダミーを水中に作ることで、敵がそちらに気を取られている間にイカ本体は逃げるというわけです。

イカスミは筆記用のインクや絵の具としても古くから利用され、イカスミを利用した黒茶色の顔料を「セピア」と呼びます。

同系色の色は「セピア色」と呼びます。

このセピアとは、ラテン語でコウイカ(イカの種類の一つ)を「Sepia」と呼ぶことに由来しています。

色の成分はメラニンで、アミノ酸のひとつである「チロシン」に「リトしなーぜ」という酸化酵素が働くことにより、「ドーパ」という化合物に変化します。

そのドーパにもチロシナーゼは働きかけ、「ドーパキノン」という化合物に変化させます。それが次々と変化して最終的には酸化し、メラニン色素となります。

なぜ美味しいの?

前述の通り、イカの墨の色素成分にはアミノ酸が含まれています。

アミノ酸は広く知られているうまみ成分のひとつで、他にも「ムコ多糖」という成分が含まれ、これもうまみのひとつに数えられています。

イカスミ料理は主に地中海地方に伝わっていて、パスタやパエリアに混ぜて使用されます。

日本には中世に、ポルトガルの宣教師から伝わったとされています。

それまでは廃棄されていました。

現代では和食や洋食にも使用されています。

現代日本の主なイカ墨料理は、「黒作り」と呼ばれる富山の郷土料理で、イカの塩辛に墨を添えたものや、B級グルメの「糸魚川ブラック焼きそば」、「東村山黒焼きそば」などがあります。

 

タコ墨は食べられないの?

タコ墨が利用されないのにはいくつか理由があります。

  • まずひとつは、「毒素が強い」と一般的に言われていること。
  • タコは的に襲われた際に、イカと同じく墨を吐きます。

    イカの墨はは自分のダミーの役割を果たしますが、その一方タコの墨は煙幕の役割。

    タコの天敵には嗅覚の鋭いウツボがいて、そのウツボの鼻を麻痺させたり、カニの感覚を狂わせたりする特殊な成分を含んでいます。

    そのためイカスミより毒素が強いと判断されて、利用されてこなかったようです。

    実際にタコの毒がある部分は、タコ墨ではなく唾液です。

    墨袋だけを取り出すぶんには問題がありませんが、昔はそういった研究も進んでなかったのでしょう。

    また、この毒は甲殻類のみに効く毒で、人体には影響だないと言われています。

  • ふたつめは、「墨を手に入れるのが困難」だということ。
  • タコは日本近海で獲るものよりも、輸入されたものが多いため、内臓がその段階で取り除かれていることが多く、日本近海で獲れたものも、墨袋が小さく、水揚げ時にはほとんど墨が残っていません。

    自分で釣り上げてさばくとしても、イカとは違い奥まったところに墨袋があるため、残したままさばくのには時間がかかります。

  • みっつめは、量がイカ墨に比べて少ないということ。
  • タコの墨袋はイカの墨袋より小さいため、大量に集めるには手間と数がいります。

    イカの墨と比べるとマダコの墨の量は10分の1程度です。

    味としては問題ない、とネット上で「タコ墨料理」を作ってアップしている方もいますが、基本的には食用にするほど費用も安くなく、手間もかかるということで良さそうです。

 

歯が黒くなった時の対処法

食べるとなるとどうしても口内に黒い色素が残ってしまいますが、それをある程度予防することができます。

まずは、食事をする前にオレンジジュースを飲む、という方法。

歯の表面にオレンジジュースに含まれる成分がコーティングされ、着色を防いでくれます。

そして、食べ終わった後に温かい飲み物を飲むようにすると、イカ墨に含まれている油分がとけて、ある程度綺麗になります。

あとは歯磨きをしっかりすれば、汚れを防ぐことができます。

予防策としてのオレンジジュースを飲むときも、歯の表面にあらかじめ汚れなどがあるとそこに色素が付着してしまうので、歯磨きをしてから食事を楽しむのがベストです。

 

イカスミにはこんな効果があった!?

イカスミにはアミノ酸の他に、「ムコ多糖」という旨み成分が加わっていることは述べました。

これにはなんとがん細胞の増殖を抑える効果があるそうです。

「ムコ多糖類」には高い抗菌作用があるため、病原菌やウイルスを撃退する働きがあると考えられています。

さらに損傷した細胞を新たに再生させるという力も備えているため、がんの予防に効果的だとされています。

さらにさらに、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の強化、血液を綺麗にする、血圧を下げる、新陳代謝をよくするなど、体にいい効果が目白押し!

関節痛の緩和や椎間板ヘルニアなどの予防にも効果を期待されています。

日本でのブームの背景にはこんな事情があったんですね。

古代ローマから現代の日本に至るまで、イカスミの活躍は目覚しいものがありますね。

積極的に食べて健康になっちゃいましょう!







イカスミはあるのにタコスミは無いの?